江戸時代から続く半田市亀崎町の老舗和菓子店「紀伊國屋本店」。
地域で「かめまん」の愛称で親しまれる亀崎饅頭を守り続けるこのお店で、今、新たな一歩を踏み出しているのが、跡取りの間瀬亜里紗さんです。
実は間瀬さんは、もともと和菓子職人ではありませんでした。
会社員として働いていた彼女が家業へ戻り、職人の道を歩み始めた理由。そして、その決断の原点にあった「恩返し」という想いについて、お話を伺いました。
家業に戻る予定はありませんでした
現在は紀伊國屋本店で和菓子職人として働く間瀬さんですが、以前は一般企業で会社員として働いていました。
家業を継ぐことを前提に進路を選んできたわけではなく、和菓子職人になることも考えていなかったそうです。
しかし、お店に大きな転機が訪れます。
長年お店を支えてきた職人さんが怪我をし、高齢となった父がひとりで作っていけるのかと不安に思ったことが、人生の大きな転機となりました。

「未来へ繋いでいきたい」
間瀬さんは、家業へ戻る決断について、穏やかな表情でこう話します。
周りの人にも恵まれ、恵まれた環境で働いていられるのは、このお店と、お店を支えてくれたお客様がいたからこそ。次は私が未来へ繋いでいきたいと思いました。
家業を継ぐことは、大きな責任を伴う決断です。
それでも間瀬さんにとっては、「店を守らなければ」という義務感よりも、家族や支えれくれたお客様への感謝を形にしたいという気持ちの方が大きかったといいます。
イチから職人を目指した一年間
お店へ入ったあとも、すぐに職人として和菓子を作れたわけではありません。
昼間はお店で働きながら、夜は週3日、お菓子づくりを学ぶ学校へ通い、一年間技術を磨きました。
「お菓子づくりの世界は、もっと女性が増えていると思っていました。」
そう話す間瀬さんですが、実際には男性職人が多く、自分自身も日々勉強の毎日だったそうです。
それでも、新しい技術を覚え、自分の手で和菓子を形にしていく時間は、大きなやりがいになっています。

「自分が食べたい」が新しい和菓子になる
現在は、新商品の開発にも積極的に取り組んでいます。
人気商品の「紅茶饅頭」や「折々 レモン」は、どちらも間瀬さんのアイデアから生まれました。
その発想の原点は、とてもシンプルです。
基本的には、自分が食べたいものを作っています。
若鮎が好きだから一年中食べられるような商品を考えてみたり、前職の上司があんこが苦手だったことをきっかけに、あんこを使わない和菓子を考えたり。
日常の何気ない出来事や、自分自身の「こんなのがあったらいいな」という気持ちが、新しい和菓子づくりにつながっています。
そして、自分が考えた商品をお客様が手に取り、「おいしかった」と喜んでくださる瞬間が、何よりもうれしいと話します。
「心が落ち着く場所」それが亀崎
学生時代、会社員時代は名古屋へ通い、多くの時間を亀崎の外で過ごしてきた間瀬さん。
それでも、帰ってくるたびに感じるのは、この町ならではの安心感でした。
半田も好きですが、やっぱり亀崎が好きなんです。
古い町並みが残り、山車祭りになると友人や親戚が自然と集まってくる。
そんな昔ながらの温かさが、間瀬さんにとっての亀崎の魅力です。
この町で生まれ育ち、この町で店を受け継ぐ。
その想いは、地域に長く愛されてきた紀伊國屋本店を守り続ける決意にもつながっています。

店舗情報
| 店舗名 | 亀崎饅頭 紀伊國屋本店 |
| 所在地 | 愛知県半田市亀崎町3-96 |
| 電話番号 | 0569-28-0064 |
| 営業時間 | 8:00~18:30 |
| 定休日 | 木曜日 |
| 駐車場 | あり |
| インスタグラム | https://www.instagram.com/kiikuniya_honten/ |